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一章 何かを守るために 3

 エフラム=クオールズという少年は、名前以外のことを訊ねなかった。「余計なことは下手に聞くもんじゃねぇだろ。・・・じっちゃんの受け売りだけどな。」なのだそうだ。じっちゃんーーーカイトという老人は、なにか話したいことや、話さなくてはならないと思うことがあるなら、必ず話すようにして欲しいとだけ言った。
 布団のなかで寝付けずに寝返りを繰り返していたリアンは、自分の身の程を話すべきか、話さないべきか、どこまで話すべきか、全てを話すべきなのかと絶え間なく思案していた。答えは決まっていた。だが、それでも彼女は思い悩むことをやめられなかった。それは、実に久しく感じた心のぬくもりを、真実を語ることで失いたくなかったからだった。自分でもその甘えに気づいてはいたが、それでもリアンは、誘惑に勝てなかった。
 温かい安心感が心に染みて、そのままリアンは深い眠りに落ちた。

 その甘さが後に多大な後悔を生むことなど知るよしもなく、ただ眠りをむさぼった。

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